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第四十八回 加古川宿界隈を歩くP
第四十九回 加古川宿界隈を歩くQ
第五十回 加古川宿界隈を歩くR
第四十九回:加古川宿界隈を歩く Q ―マンホール@―

JR加古川駅から南方へと続く駅前商店街を歩くと、東西を走る西国街道(旧山陽道)に差し掛かります。
 右側、西方へと曲がれば寺家町商店街になります。東方へ進み広い駅前通りを横切れば右手には、かつて郵便局や警察署が所在したものの、移動した広い跡地には高層の県の総合庁舎の建物が見えてきます。周辺は、「居屋(禮・いや)河原」や江戸時代でも終わりごろになると加古川宿の広がりに伴い、「新宿」とも呼ばれています。当時の面影はほとんど消えていますが、古い地図などには呼び名が記されています。
 徒歩や自転車、自動車で移動するときは、建物などの風景に注意を払いますが、意外と道路面には目を向けていません。下側ばかりを眺めていたら、溝へはまったり電柱などにぶつかると危険だからです。立ち止まり見渡すと、道路には大小の四角や丸形など、何種類ものマンホールや蓋が見受けられます。
 ふと変わった図柄、内容のマンホールが眼に届きました。記されていたのは、「水準点 基本」の文字や計測している図柄と共に「国土交通省国土地理院」とありました。ほかの地域でも使用されているかも知れませんが、見るのは初めてでした。
 「水準点」とは「土地の高さが測定してある点、全国の主な道路に沿って約2qごとに設け、花崗岩の水準点標石を埋設」と『広辞苑』第6版には記されていました。
 土地の高さだと知り、国土地理院発行の地図を出して調べました。該当する付近には、印が入れられており、「4.4m」と伺えました。現在の標高を知りたく、インターネットなどの地図で確認すると、5〜6mだと分かりました。
 1〜2mの違いは、深い地点に水準点があるのでしょう。マンホールの中を勝手に覗けないので、どれぐらいの位置にあるのか分かりません。
 同じ水準石は西国街道をさらに東方へと向かった先の、野口町の教信寺門前に石柱が保存されています。同じ石材を使用していると考えられ、地図上の「4.4m」は計測当時の数字ではないでしょうか。
 古代の周辺は海岸線に近い場所でした。河川の氾濫などで浸水の影響を受けないように、長い年月をかけて、少しずつ嵩上げされてきたからです。
 【海と川の境界線】でも触れたように、2011年3月11日の東日本大震災以降、津波による被害の教訓から全国各地の海岸付近や河川沿いでは河口までの距離、土地の高さの掲示や表示板が建てられています。自分の住んでいる地域の状況を知ることができます。

                                  20151010 岡田 功(加古川史学会)


「水準点 基本」と書かれたマンホール