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第五十八回 高架下の供養仏
第五十九回 平荘湖C
第五十九回:平荘湖(へいそうこ) C―本岡家住宅―

平荘湖の北東、図書館などが併設されている総合的な健康づくりの施設「ウエルネスパーク」から徒歩5分ほどの距離に「少年自然の家」があります。木々が繁った敷地内の一画、野外活動センターのなかをしばらく歩くと、自然の風景を背景にした古民家が眼に届きました。江戸時代の大型民家の基準建築として、昭和44年3月に兵庫県の有形文化財として指定されている「本岡家住宅」が移設されていたのです。
 平成6年までは、加古川左岸の同市八幡町下村に建っていましたが、翌年には本岡篤信氏から加古川市へ寄贈されました。解体調査後の同10年に総事業費1億4500万円を要して移築されたのです。
 代々、庄屋を務めてきた本岡家の建物は、江戸時代の元禄7年(1694)、本岡嘉平治が当主のころに船町(同市八幡町)の大工・八左衛門により建てられたと棟札には記されています。
 入口の左側が部屋になります。「田の字」型に下屋部分の2部屋を加えた6部屋には「神の間」「奥の間」「よりつき」「中納戸」「台所」「奥納戸」など各々の名称があります。壁の二段の貫(ぬき)は元禄時代の粋を表現していると言われます。
 奥の間だけは畳が敷かれ、同じ形で床(とこ)が二つ並んでいるのは珍しい意匠だとされています。解体調査をしたところ、元禄ごろの民家と同じく中納戸に突きだして北方から南方へ向けて仏壇が造られていたと分かりました。「神の間」に小さな縁台が付くのも特徴があるといいます。
 玄関を入ると土間(どま)が広がっています。かつて重宝していた唐箕(とうみ)や石臼(いしうす)、農耕具などは寄贈された民具が展示されています。じっくり眺めていけば、どこかで見た記憶のある懐かしいものと出あうかもしれません。
 敷地内には、同市平荘町池尻の町内会から寄贈された救助船「水防飛来船」が保存されています。加古川が氾濫したときに人命救助で使用されたものです。船尾には「明治24年11月21日」に建造したと墨書(ぼくしょ)があります。昭和20年の終戦の年が最後の使用になったようです。
 一般公開されています。毎日ではありませんので、日時などを問い合わせたうえ平荘湖周辺の散策や「ウエルネスパーク」へお出掛けの際には是非とも立ち寄り見学されてはいかがでしょうか。自分の眼で確かめれば何かの発見があるかも知れません。
                                       201800417 岡田 功(加古川史学会)


少年自然の家

 本岡家住宅