長かった冬が終わり、桜の季節がやってきた。 ここ 「スナック さゆり」にはいつものメンバーが、いつものように 浮かれ気分で集まってきていた。 「アーラ、高須さん。 今日もお一人?
「まぁ、そういうなよ、春ちゃん。 ここはみんなの休息の場所だ。
「そうね、毎回おんなじこと言っていても、こっちも面白くないしね。
いつものように軽いやり取りが交わされ、夜のひと時が始まる。 「春ちゃん、今日はママはどうしたんだい?」 「ママは気さくにつきっきり。 今度こそしっかりした男の子に
「お父さんに似てるのがどうも気に入らないみたいなの」 「ふーん、俺なんざ、矢の川はいいよなぁーでかなり
「おまぁーえに、めいわくかけたんかぁーい」 「げっ、矢の川、そんなとこにおったんかいな?」 「あったりまえじゃぁー、ここは俺の店やねんろー」
厨房からおっちゃんが、ぬぼーっと現れる。 「パエリアやノーて、それはゾエリアやぁー」 「ふるっい話むしかえしよんなぁ、こいつは」 厨房も巻き込んで宴たけなわに成ると、突然
「布団の上にアルミ缶、
「てっちゃんは寝とケー」 と全員が叫ぶ。 「あーぁ。 これじゃ、又今晩も儲けなしね。
スナック・さゆりに集う面々、悪気はないのだ、
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