ことの起こりは、 「雪苺娘」 だった。 なにやら、大阪のほうで、流行っているお菓子らしい。 矢の川が、珍しく大阪出張でその売り場を目撃してきた。
都会の人気に当てられ、弱気になっている彼に叱咤・激励の
「雪苺娘食べたいなぁ」 「今度の休みには、ケーキ・パーティーしたいなぁ」 「高須さんは忙しいみたいやし、
周囲の期待を一身に受け、矢の川が、意を決して
くたびれたサラリーマンや、顔黒のねーちゃんに混じり、
ついに手に入れた 「雪苺娘」。
「どぉーこ、いっとんねん、こんなに遅くまであいつら
「げっ、雪苺娘や。 ケーキ・パーティー、明後日になったの
矢継ぎ早にメールを送り、あっち、こっちの都合を調整する。
「あぁーした、うちの建設現場で、バァーべキューやぁ」 と、話をまぜっかえす。 いっぽう、そのころおっちゃんは。
と素朴に首をかしげている。
買い物はどうするんだ? 現地に集まってから買出しに行く?
駐車場にナベさんがいた? えぇーい、そんなもんほっとけぇー
帰りの道を千鳥足。 どぶにはまりながら考えた。
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