この男はもてる。
顔は長淵強と明屋さんまを足して2で割り、目尻を下げて 少しおちゃらけさせたよう。スタイルは中肉高背、文句無し の8頭身で性格は明るく、細かいことは気にしない。もとい、 気にならない。多少わがままでは有るが持ち前の人当たり の良さで嫌みなくそれを押し通してしまう。運動神経抜群、 頭脳明晰、芸術的センスにあふれ、字がきれい。道を歩け ば人だかり、立ち止まれば写真を撮られ、犬猫は寄ってく るは近所のジジ、ババは気絶するは、飲めや歌えの大騒ぎ。 と、ここまで書くと嘘になる。とにかくいい奴で、いつ何時誰が 尋ねていっても 「まー、1杯飲もーや。」 と歓待してくれ、時間を忘れて酒盛りに付き合ってくれる。 唯一の欠点は泥酔すると 「チャチャリラリラー。」 とか歌って鍋を振り回し、訳のわからん手品を始めること ぐらいか。あぶないっちゅうねん、もー。 こんな男だから守備はもちろんサード。打球に対する反 応は天性というか野生の感というかすばらしいものが有り、 ハーフバウンドの難しいゴロをわざと体の後方までタイミン グを遅らせて捕球するというプロ野球でも滅多にお目にか かれない高等技術を見せる。ただし送球に関しては 天真爛漫な性格どうり、ファーストが身長3メートル、横幅 5メートルくらいの人間でないと捕球できない球が行く。従っ て彼が打者をアウトにする確率は非常に低い。盗塁もなか なかセンスよく走るのだが、その走り方が暴走族っぽいのと、 十分、間に合うのにわざとらしく滑り込むのはぜひ止めても らいたい。打撃に関しては、あまりふれたくない。ただ、皆で 打順についてミーティングをしていると既にバットを持って 打席に入り 「1番、ぼくなぁー。」 とか嬉しそうに言っていたので、仕方なく1番となった。 ジャッカスの核弾頭、「1番、サード矢ノ川」はこうして誕生 した。 |