その4 「3番 キャッチャー 神吉」 (1999.12.20)
「ファンの皆さんは4番バッターがチームで最もよく打つ人と 思っておられるでしょうね。 確かに4番は打線の要なんですが、 実は3番バッターがチームで最もバッティングのうまい選手な んですよ。」 そう、 3番バッターはチームで最もバッティングのうまい選手 でなければいけない、いや、もっと突き詰めれば3番バッター は天才でなければいけない。では、天才とはどういったものか、 それはこうである。 いわく、天才はいつもひょうひょうとしていてどんな事が有っ ても動じてはいけない。 天才は細かい事などいちいち気にし てはいけない。天才は俗世間の約束事や時間のことなど超越 していなければならない。天才は常に独自の世界を持ち他者 の追従を許してはいけない。 となれば、もはやジャッカスの3番は彼以外には考えられない。 神吉、まさに彼の独壇場だ。彼がいかに天才か、ここにひとつの エピソードをあげよう。 ジャッカスがいつものように矢ノ川宅に押しかけて宴会をしてい た時。 集合時間をとうに過ぎ、宴会も潮時の頃、突然台所側の 勝手口をガラリと開き、神吉が登場した。 手にはなぜかプラスチ ック製のバット。 驚きのあまり、目が天になり、開いた口から声も 出ない矢ノ川夫人さゆりさんには目もくれず、どっかと席に陣取り 残り料理をうまそうに平らげつつ、話題のズレなど気にもとめず 宴席に溶け込んでしまった。 なぜ勝手口からの登場なのか? どうしたらあんなに遅れても やって来られるのか? プラスチックのバットはいったい何を意味 するのか? んーむ 天才だ。 天才の行動は常に一般人の常識を覆す。 強肩をかわれキャッ チャーをしている神吉。 ある試合中、ピッチャーの球が暴投と なり主審が新しいボールを取り出した。 すると何と彼は振り向 きもせず座ったままで 「ハイ、次。」 と言わんばかりに右手を上げるではないか。やはり、天才のプ レーはスリリングだ。 ジャッカスの3番、 天才バッター神吉。 恐るべし。 |