練習用語は、各学校やスイミングスクールで、様々な用語が使われているのが現状です。
ここでは、中学校体育連盟主催の練習会や合宿で用いられている用語を紹介します。

練習用語解説


        
1. 練習スピードに関する用語

 Des. ------ Descending〔テ゛ィセンテ゛ィンク゛〕の略
               徐々にスピードを上げて泳ぐ練習。2つのパターンがある。
               1) Descending    1セットの中で1本目からラストまで一定の割合でス
                 ピードを上げていく。ただし1本目が遅すぎないよう
                 に注意したい。
               2) Set Des.      1セットごとに徐々にスピードをスピードを上げてい
                 く。例えば100×5×4セットならば、1セット目
                 は5本とも1'15"で、2セット目は5本とも1'13"で、
                 3セット目は1'11"で、4セット目は1'09"というよう
                 に上げていく。

 All Out ------- 〔オール アウト〕 
               スピードトレーニングの中でも、最も瞬発力を要する練習方法で、その距
       離は比較的短いが、常に全力が要求される。少なくとも短距離のレーススピ
       ード、あるいはそれ以上で泳がなければ効果がない。
              〈例〉 S  25×8    All Out  on 60"
                     S   50×6    All Out  on 2'00"

 Repetition ----- 〔レヘ゜ティション〕
               長い休みを取りながらレースに近いスピード(90%〜95%以上)で泳ぐ練習方
       法。泳者は長い休みを取るかわりに高いスピードが要求される。したがって、
       本数が重なるにつれて体内に乳酸が蓄積し、かなりの疲労を感じる。この疲
       労の中でいかにスピードを落とさずにがんばれるかで、練習効果は大きく異
       なる。
              〈例〉 S 100×8  Hard  on 3'00"
                     S   50×12   Hard  on 80"

 Neg. ------ Negative〔ネカ゛ティフ゛〕の略
               レースでの後半に強くなるための練習。そのために前半のペースをやや落
       とし、それ以上に後半をがんばらなければ効果はない。目安はHardメニュー
       (85%〜90%以上)よりも全体のタイムはやや落ちるが、後半はNeg.の方がスピ
       ードは上回るようにすること。決してE-H〔イーシ゛ー ハート゛〕ではな
              いので注意!
              〈例〉  S  100×12   Neg.  on 2'00"
                    100mベスト 1分00秒の選手
                       レース時        85%Hard          Negative 85%
                前半    29秒 −−−→ 33秒 −−−→ 35秒   34秒
                後半    31秒 −−−→ 37秒 −−−→ 35秒  or  35秒
                    1分00秒      1分10秒      1分10秒or1分09秒

 E.H. ------ Easy Hard〔イーシ゛ー ハート゛〕の略
               1本ずつ交互にイージー,ハードで泳ぐ練習。
               スロー・ファーストとも呼ばれる。

 S.R. ------ Short Rest〔ショート レスト〕の略
               短い休み(普通5秒〜10秒)のインターバルトレーニングで、主に有酸素運動
       能力を高める。本数やレストの量によって運動強度は変わるが、トレーニン
       グ中は一定に保つ方が望ましい。また、すべての本数をクリアーしなければ、
       インターバルトレーニングの意味がなくなってしまう。


2.運動強度に関する用語

    運動強度を大きく2つに分類すると、有酸素性運動と無酸素性運動に分けられる。
  有酸素性運動とは、酸素を余裕を持って体内に取り入れながら、運動(トレーニング)
 することである。エアロビック(Aerobic)・トレーニングともいう。 この場合、運動強度
 は比較的低い。
  無酸素性運動とは、運動強度が高いために筋肉への酸素供給量が追いつかなくなり、血
 中乳酸(疲労物質)が蓄積していくような運動(トレーニング)である。アネロビック
 (Anaerobic)・トレーニングともいう。
  これらをさらに細かく分類すると、以下のようになる。参考のために50〜200mベストタ
 イムを100として、標準スピードをそれぞれ%表示してみた。 しかし、その時期の練習目
 標や個人差もあるため、一概にはいえないので注意したい。

        計算方法(%)----(DATA)÷(ベストタイム)×100

    〈例〉100m 1'00"0 (60") の選手 → 90%で 1'06"6 (60"÷0.9)
                                   → 85%で 1'10"6 (60"÷0.85)

   (1)有酸素性運動
     A1 ---- Aerobic One〔エアロヒ゛ック ワン〕の略《50%》
               クールダウンに用いられる泳速度。血中乳酸を除去するには最適な運動強
       度である。

     A2 ---- Aerobic Two〔エアロヒ゛ック トゥ〕の略《76〜88%》(=A2-1・2)
               最適ウォームアップ強度。筋肉の温度を高め、ハードワークのための準備
       を図る。また、持久力効果を期待できる最低限度の泳速度と考えられる。

   EN1 -- Endurance One〔エンテ゛ュランス ワン〕の略《81〜90%》(=AT-1)
               AT(Anaerobic Threshold 〔アネロヒ゛ック スレッショルト゛〕の略で、
        無酸素性閾値ともいう。)レベルの泳速度。産生する乳酸を運動しながら除
        去する能力を高める。この泳速度は、持久力トレーニングに適したペースで
        ある。具体的には前記のS.R.系の練習がこれにあたるが、距離・ペース・
        本数によって、トレーニング効果は異なる。

  (2)無酸素性運動
     EN2 -- Endurance Two〔エンテ゛ュランス トゥ〕の略《86〜93%》(=AT-2)
               最大持久的運動能力を改善するための最大酸素消費トレーニング。このト
       レーニングには適切なレストが必要となる。具体的には、前記の Negative,
       E.H. などや、やや長めのレストのある Hard 系の練習がこれにあたる。

     AN1 -- Lactate Peak〔ラクテイト ヒ゜ーク〕《90〜96%》   (=VO2 MAX)
                これも、最大持久的運動能力を改善するための最大酸素消費トレーニング
       であり、高い乳酸産生を生じるトレーニングペース。最大血中乳酸値改善を
       図る。長いレストを取る替わりに、非常に高い運動強度で行う。具体的には、
       前記の Repetition がこれにあたる。

     AN2 -- Alactic Peak〔アラクティック ヒ゜ーク〕《100%〜》
               短い距離での高運動強度トレーニング。これにより、パワーや筋肉の動員
       能力(眠っている筋肉を使えるようにする)の改善を図る。具体的には、前
       記の All Out がこれにあたる。


                  参考資料提供 兵庫県中学校体育連盟 水泳競技部