自作句集



   雲を朱に工業地帯の長き夜(よる)       071223

   遠巻きにそろりと冬の日の出かな       071223

   ドップラー効果を連れて鵯逝けり       071128

   手弁当赤の名残の彼岸花            0710

   陽を浴びてひとはな咲かす曼珠沙華       0710

   葬送や蜻蛉の群れを分けて行く

   瞑想を正しく終えて栗となる         071005

   ぱちぱちと鳥取砂丘の砂が鳴く         0708

   砂平線かすむ鳥取砂丘なり           0708

   虹を向く携帯という携帯が          070906

   葉陰なる立場危ふし雨後の露         070812

   焦点の合ふも合はぬも我に有り        070812

   青空へ四十五度の若葉かな          070522

   犬ふぐりと何年ぶりに見たかしら       070325

   たわむれてヒメオドリコソウ犬ふぐり     070323

   インパルス百倍にして稲雀         051024

   月光が射し込む。二階は逆放射       051017

   月天心ジョギングをする。影法師      051017

   良夜なりほのかに残る刈り穂の香      051016

   裏になり表になつて蝶二つ         050716

   夜の田に波紋重ねて蛙鳴く         050607

   田に水の入りて蜂起の蛙かな        050607

   夜の田は鏡かはづが覇を競ふ        050604

   麦の穂がメイストームに大ウェーブ     050518

   夕闇に紛れかねたる桜かな         0504

   おぼつかぬ足どり列の新入子        0504

   カメラ誌の梅特集に春を知る        050119

   来る時を知つて木々の葉は落ちにけり    051016 改

   夏の猫死んだようにまるで死んでいる    040725

   紫陽花と紫外線との関係は         040610

   背なに雨受けて蛙も梅雨に入る       040606 
せな=背中

   豆残る 仏壇の裏 床の奥          040204

   ポケットの中に夕べの豆ひとつ       030203

   答案も僕の心もどしゃぶりだ        020707

   こぼしつつ雀は歩む日は長し        020202

   小走りをしても戻らず秋桜         020202

  夏の甲子園
   夏の陽(ひ)も風も動けぬ好勝負       0108
   集中の一瞬とぎれ炎天下          0108
   風抜けぬ蔦の覆ひし皿の中         0108

   いつになく素直だあっちむいてほい     010802

   ひぐらしや夕立ちの中声高く        010802

   ひぐらしの夕立ちてより鳴き始む      010802

   降り出してにわかに楽し田の蛙       010603

   遠きもの凝縮しをり窓の露         000123

   窓の露耐えると見えて落ちにけり      000123

   まとまって重みに耐えぬ窓の露       000123

   秋風の中に生まれし虫の声         000130

   収束か放射か曼珠沙華逝けり        991004

   それぞれにゆるやかにあり秋桜       991004

   チューリップおわんのように春を受け    990427

   一人でも競歩は競歩気は澄みて       981217

   さらさらといらか輝く良夜なり       980114

   バスを待つ母子まもりて黄落す       971107

   秋空や大工左官の大仕事          971016

   寄り添つて離れがちなり曼珠沙華

   秋の蚊の羽音やさしく打ちにけり

   門を出てふいにまつはる蝶一羽

   田園(でーーん)と広がっている秋空だ

   水筒の氷を振れば宇宙(そら)の音     9607

   風立ちぬ電気ストーブ点(つ)けし瞬間(とき) 960119

   コスモスや子らはないしょのはなしあい   960905

   子を寝かせ横たふ窓は虫の声        960908

   仕事終へ出でし外(と)の面(も)は野分かな  960905

   落葉焚けむたきことも歓びて        951129

   歯医者にてあおむけにをり外は雪

   虫の声ひときは響くもののあり       950916

   全員で青嵐受け散歩かな          950617

   初夏や白き靴下白き服           950615

   植ゑられし田の面に風の吹き初めき     950612

   校庭のポプラに答え聞いてみる       9505

   田を植ゑて稲穂の波の生まるる日      950218

   信号で止まれば雪が先をゆく        950201

   被災してテニスコートよ地割れ烈し     950215

   避難所となりし校庭紙舞へり        950215

   被災地のビニールシート蒼き屋根      950215

   トラックの中で足あげ三尺寝        950213

   冬の気の澄みて銀杏は枝広ぐ        950122

   茶話茶話と庭のコスモス揺れてをり     950125

   コスモスの同じく我を見ていたり      9410

   とびとびにかたまつている曼珠沙華     940927

   裾の先稲穂に触るる案山子かな       940903

   粛々と四月の授業は始まれり        940413

   女生徒の髪に分け入る春の風

   春愁や街路樹道に出て伐られ

   萩訪ひて茶話といふ名の喫茶あり      960218

   下校子の黄色き帽子稲穂道         960218→010804

   高校のドームに紅葉照り合へり

   街角の赤きポストに銀杏散る

   寒風や葬儀の準備黙々と          9301

   鯉幟凪ぎて万象光り初む          9205

   光る風集めて高き五月鯉          9205

   物置の底より出づる春蚊かな        9203

   一歳の子を歩ませて青き踏む        9203

   春風や冠羽一条乱れたる          9203

   銀杏散る法文坂を上りけり         9111

   散り残る銀杏黄葉も日暮れけり       9111

   倒れゐし案山子の今朝は立ちてをり     9109

   竹薮のみな色めきて野分来る        9109

   虫鳴いて職員室の灯りけり         9109

   雪化粧してますぐなり今朝の道       9101→9509

   新雪のとけて光の生まれけり        9101

   明日よりの注意のありて夏休み       9007

   あたたかき水従へて寒の鯉         890302

414  大根を並ぶる小屋の立ちにけり       881117

412  白鷺の夕日携へ渡りけり          881030

392  扇風機残暑光受け回りけり         880822

378  八十歳の記念と笑める登山翁        880815

349  鉄線花戸口の闇に浮かびけり        880510

335  こいのぼりはやのぼりたる田舎道      880425

308  菜の花や釣りの車の止まりをり       880228

280  燕来て不即不離なる畑の畝         880211

250  雪解水頬に触れたり空の青         880118

241  高圧線びいいと鳴りて桜咲く        880116

207  迎春の文字を掲げて文具店         880108

148  短日の大樹ばかりに日の当たり       871201

109  小春日を天道虫と畑にゐる         871110

   向日葵に白き裏側ありにけり

107  小春日や蠅二匹ゐて睦み合ふ        871110

 92  稲妻の真横に走る午前四時         871102

 73  萩の道飛行機雲に連なれり         871009

 69  秋空や田舎のポスト小さかり        871006

 57  雀追ふ目玉つるして稲田かな        871001

 43  傾きて夕星(ゆふづつ)を指す案山子かな  870922

   翡翠のひるがへす身のはやさかな

   暗闇のひときは暗し遠案山子

   曼珠沙華新しき店建ちにけり


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