傾国

枢木日記

12/08

 猫祭りの日でした。ずっと軍務が続いていたのですが、来られて本当によかったです。サプライズというのは、衣裳をアーサーみたいにしてもらうということでした。楽しそうなみんなの様子を見ていると、あの日のことが嘘のようです。いい一日でした。でも、アーサーには今日も噛まれました。
 来週には試験がありますが、生徒会のみんなはこんなことをしていて、大丈夫なのでしょうか。

 なんでルルーシュだけ、僕らと衣装が少し違ったのでしょう? でも、似合っていたからいいと思います。
 今日は、猫祭りがはじまる前は悪かったルルーシュの機嫌が、途中でよくなったので、終わってからシャーリーが入ってきたとき、二人きりにしたのですが、その後また機嫌が悪くなったそうです。ルルーシュはすごく気分屋なのです。ふと気づくと、機嫌がよくなっていたり、悪くなっていたりします。
 シャーリーはとてもいい子だと思います。ルルーシュはそういう子に甘えるところがあるみたいだから、シャーリーにも甘えているのかもしれません。

 猫祭りの後、少しだけ、ルルーシュと黒の騎士団の話をしました。僕が自分の意見を忌たんなく言えるのはルルーシュだけなので、つい自分の考えだけを言ってしまいましたが、結局ルルーシュは、黒の騎士団をどう思っているのでしょうか。どうしてか、聞くのが怖いです。ルルーシュにゼロを肯定されたら、僕は、どうすればいいのでしょう。

12/09

 昨日、「忌憚」の漢字がわからなかったので、辞書を見ようと思ったのですが、そう言えば寮を出されたときにあれは捨てられてしまったのでした。とても悲しかったのに、どうして忘れていたのでしょう。それで、まず学校の図書館に行ってみたのですが、日本語の辞書はありませんでした。もう、日本語の辞書は、店にも並んでいません。司書の人に聞いてみたのですが、無視されてしまいました。
 それで次に、もしかしたら知っているかもしれないと思って、会長さんに聞きに生徒会室に行きました。でも、会長さんも辞書は持っていないということでした。カレンさんなら勉強家だし日本文化にも興味があるみたいだから知っているかもしれない、と言われたのですが、今日はカレンさんは来ていませんでした。病気なら、わざわざ電話をかけて聞くのも迷惑だと思うので、やめておきました。リヴァルが言うには、カレンさんはここしばらくはよく学校に来ているほうなのだそうです。でもあまり話をすることがないです。避けられているのでしょうか? カレンさんは、ニーナさんほど、僕らイレブンを怖がっていないと思ったのですが。
 こうやって、日本語は忘れられていくのでしょうか。あんなにずっと使っていた言葉が、本当に消えてしまうのか、僕は信じられないような気持ちでいます。僕の周りで日本語をしゃべれるのは、名誉ブリタニア人の人たちと会わなくなった今では、もう、二人しかいません。
 話を戻します。日本語の辞書は、結局、図書館にあったので、それを引きました。

 途方に暮れて、とりあえず、もう一度図書館で探そうとしたら、ルルーシュに会えました。今日は学校に来ていなかったのですが、調べものがあったのだそうです。はじめから、学校に来ればいいのに、と思います。
 ルルーシュに、一応、漢字がわかるか聞いてみたら、図書室に勝手に置いているという国語辞書のところに案内してくれました。どうしてこれを置いていたのか、聞いてみたのですが、教えてくれませんでした。今度、ナナリーに聞いてみようと思います。
 国語辞書は、かなり前のものみたいで、僕が自由に使ってもいいけれど、捨てられたくないから持って帰ってはいけないということです。つまり、ルルーシュと僕の共有物ということです。図書館を勝手に使ってもいいのか不安ですが、なんだか昔を思い出すので、あの司書の人が気づかなければいいなと思います。

 ところで、ルルーシュについて何かわからないことがあったら、ナナリーに聞けばいいのですが、ナナリーに聞くのは申し訳ないというか、どうしてナナリーに聞いているのだろう、と思うことがあります。これはなんなのでしょうか。僕は、ルルーシュについて、誰か他の人に尋ねることを、情けないと思っているのでしょうか。

12/10

 今日は、生徒会で、次のお祭りの打ち合わせがありました。猫祭りが終わったのはつい先日なのですが、あれは生徒会内でのアーサーの歓迎会であって、それとは別に、季節ごとに仮装パーティをしているそうです。今度のテーマは「怪奇」だそうです。こんにゃくは最近見かけないなあと思ったら、ルルーシュに、こんにゃくはだめだと言われました。ルルーシュは、どうして僕の考えたことがわかったんでしょうか?
 僕の不気味さが増すだけだと言われて、生卵にしようと思ったのですが、もったいないし、みんなにだめだと言われました。それで仕方なく諦めたのですが、帰る前に、白身だけだったらどうかなと思いついてルルーシュに話しました。でも、その案はもう捨てろと言われました。いい案だと思ったのに、そんなに即座に却下することはないと思います。

 今度隙を見て、ルルーシュに試そうと思います。

12/11

(ページ破損)

 でも、もし効かなかったら、僕には幽霊を成仏させるような資格がないということになるでしょうか。
 そんなことはないはずです。効かないのが、当然であるはずです。
 あの二人につく幽霊なんて、僕よりも悪い幽霊に決まっています。だから、大丈夫です。

12/12

 朝一番に、ルルーシュにお礼を言われて、ものすごく後ろめたいです。でも彼がお礼を言ってきたということは、きっとあれは効いたのでしょう。よかったです。本当によかったです。

 そう言えば、はじめてクラブハウスに行ったとき、ルルーシュとナナリーと篠崎さん以外の匂いがしたことがありましたが、あれは幽霊だったのでしょうか? 幽霊にも匂いがあるのでしょうか。
 母さん、もしそうなら、その幽霊を懲らしめておいてください。

12/14

 今日は生徒会でリフレインの話が出ました。リヴァルが言い出したのですが、近ごろイレヴンの間で流行っている麻薬で、過去の幻影を見るのだそうです。
 カレンさんが嫌がって、会長とルルーシュがリヴァルを叱ったので、その話は終わりになりました。僕は後でルルーシュに、もし過去に戻れるならいつに戻りたいかを聞きました。するとルルーシュは、おまえはナナリーにもそんなことを聞くつもりじゃないだろうな、と言いました。それからしゃべってくれなくなりました。僕も、怒られたのでしょうか。
 もし過去に戻れるなら、僕はあ

 緊急コールがありました、大規模な作戦があるそうですので、しばらく日記は書けません。行ってきます。

 ルルーシュナナリー、心配しないでね