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- PatiPati (Ver 2.1) -
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親指で、なめらかな頬にふれてみた。 目は粗い綿布で塞がれている。だが引き結ばれた唇から、その下で碧の双眸がこちらを睨んでいることは推測できた。 ふ、と口元を綻ばせる。 「愉快だな…」 何の気なしに呟くと、本当に愉快になってきた。 だんだんこらえられなくなり、ついには声を出して笑うと、首筋の薄い皮が怒りで張りつめた。目聡く見つけてそこを撫でると、ひくりと動く。 まるで生きているようだ。 死んでいるくせに。 唾液を嚥下する気配を見せた喉が、飲みこみ損ねて潰れた音を出した。労るようにさする。するとふれた箇所から鳥肌が浮いていく様が見えた。 「素直なのはいいことだな」 身体だけだけれど。 そう言うと、嫌そうに口元が曲がる。唇がめくれ、濡れた桜色が見える。